Takeshi Shibata
Quick Facts
Biography
柴田 武(しばた たけし、1918年7月14日 - 2007年7月12日)は、日本の言語学者、国語学者。東京大学名誉教授、埼玉大学名誉教授。文学博士(東京大学)(1969年)。愛知県名古屋市生まれ。
方言地理学、社会言語学などの研究を続け、「日本の方言」(岩波書店)などを著した。『新明解国語辞典』(三省堂)や『類語大辞典』(講談社)の編纂にも参加した。長く、NHKテレビ『日本語再発見』に出演し、1985年、NHK放送文化賞を受賞。私的な側面では国字ローマ字論の第一人者であり、財団法人日本のローマ字社の理事長を長らく務めた。
略歴
- 1942年:東京帝国大学文学部言語学科卒業
- 1949年:国立国語研究所所員
- 1964年:東京外国語大学教授
- 1968年:東京大学文学部教授
- 1979年:埼玉大学教養学部教授(1984年まで)
- 2007年:7月12日午前7時43分、低酸素症のため浦賀病院(神奈川県横須賀市)で死去。88歳没
太平洋戦争終結後、1948年(昭和23年)に「日本語は漢字が多いために覚えるのが難しく、識字率が上がりにくいために民主化を遅らせている」という偏見から、GHQのジョン・ペルゼルによる発案で、日本語をローマ字表記にしようとする計画が起こされた。そして正確な識字率調査のため民間情報教育局は国字ローマ字論者の言語学者である柴田武に全国的な調査を指示した(統計処理は林知己夫が担当)。1948年8月、文部省教育研修所(現・国立教育政策研究所)により、15歳から64歳までの約1万7千人の老若男女を対象とした日本初の全国調査「日本人の読み書き能力調査」が実施されたが、その結果は漢字の読み書きができない者は2.1%にとどまり、日本人の識字率が非常に高いことが証明された。柴田はテスト後にペルゼルに呼び出され、「識字率が低い結果でないと困る」と遠回しに言われたが、柴田は「結果は曲げられない」と突っぱね、日本語のローマ字化は撤回された。この話は2010年9月23日放送のみんなでニホンGO!で取り上げられた。
受章歴・叙勲歴
- NHK放送文化賞(1984年)
- 勲三等旭日中綬章(1992年)
著書
単著
- 文字と言葉 刀江書院(1950年)
- 日本の方言 岩波新書(1958年)
- 生きている方言 筑摩書房 (グリーンベルト・シリーズ)(1965年)
- ことばの社会学 日本放送出版協会(NHKブックス)(1965年)
- 言語地理学の方法 筑摩書房, 1969
- 方言の世界 ことばの生まれるところ 平凡社(1978年)
- 社会言語学の課題 三省堂(1978年)
- 知ってるようで知らない日本語 たとえば「小春びより」って,いつのこと? ごま書房(ゴマブックス)(1987年)
- 知ってるようで知らない日本語 2 たとえば「秋波」って、どんな波? ごま書房(ゴマブックス)(1987年)
- 柴田武にほんごエッセイ 大修館書店(1987年)
- 糸魚川言語地図 上巻 秋山書店(1988年)
- 知ってるようで知らない日本語 3 たとえば「てんてこ舞い」って、どんな踊り? ごま書房(ゴマブックス) (1988年)
- 語彙論の方法 三省堂(1988年)
- 方言論 平凡社(1988年)
- 脱脂文明 二十一世紀への提言 サンライズ企画(1990年)
- 糸魚川言語地図 中巻 秋山書店(1990年)
- 日本語なるほど事典 ごま書房(1992年)
- 糸魚川言語地図 下巻 秋山書店(1995年)
- 日本語はおもしろい 岩波新書(1995年)
- 日本語を考える 博文館新社(1995年)
- Sibata, Takesi (1998) Takesi Sibata: Sociolinguistics in Japanese Contexts. Edited by Tetsuya Kunihiro, Fumio Inoue & Daniel Long (Mouton de Gruyter)
- その日本語、通じていますか? 角川書店(角川oneテーマ21)(2002年)
- 覚えておきたい美しい日本語 角川書店(2002年)
- 常識として知っておきたい日本語 正続 幻冬舎(2002年)
- ホンモノの敬語 角川書店(角川oneテーマ21)(2004年)
- 人前で使える日本語 もう誤用で赤っ恥をかかない 祥伝社(2004年)
- ことばのふるさと見ぃつけた ベスト新書(2005年)
※この他、教育出版の小学校・中学校用の国語教科書の執筆にも長年携わっていた。
共著・翻訳等
- わたしは日本人になりたい W・A・グロータース 筑摩書房(1964年)
- 誤訳 グロータース共著 三省堂(1967年)
- ことばの意味 辞書に書いてないこと 共著 平凡社選書(のち平凡社ライブラリー)(1976年)
- 現代日本語 朝日新聞社(1976年)
- 現代の日本語 祖父江孝男,徳川宗賢 三省堂選書(1977年)
- 奄美徳之島のことば 秋山書店(1977年)
- メダカの方言 辛川十歩 未央社(1980年)
- 言語地理学入門 E.コセリウ グロータース共訳 三修社(1981年)
- 漢字の風物詩 画家と学者の出会い 榎戸文彦 徳間書店(1989年)
- 世界のことば小事典 大修館書店(1993年)
- 世界ことわざ大事典 大修館書店(1995年)
- 明解物語 武藤康史 三省堂(2001年)
- 類語大辞典 山田進 講談社(2002年)
- おじいちゃんの日本語教室 井口豪 朝日新聞社(2003年)
脚注
参考
- デジタル版 日本人名大辞典+Plus『柴田武』 - コトバンク
関連項目
漢字廃止論