Jin Dogg
Quick Facts
Biography
Jin Dogg(ジン ドッグ、1990年9月10日 - )は日本のラッパー。「Jin Dogg」の名前はSnoop Doggと珍島犬(韓:진돗개、Jindotgae)に由来する。
来歴
生い立ち
1990年に大阪府大阪市生野区桃谷で誕生。両親は韓国人で自らは在日3世にあたる。父親は子供の頃からいなかった。保育園まで生野区で育ち、大阪市内を転々としたのち天王寺区に引っ越す。当時の天王寺区は在日韓国人が少なかったためいじめを受ける。10歳で渡韓し、現地の日本人学校に通う。韓国では「日本人である」という理由からいじめを受け、アイデンティティに悩んだ彼は「一回グレた」こともあった。
14歳違いの姉の影響からヒップホップ文化に慣れ親しみ、小学5年生のときからヒップホップ音楽を聴きはじめる。中学2年生の後半から3年生でヒップホップを一気に好きになり、スヌープ・ドッグをはじめとするGファンクや、ノトーリアス・B.I.G.などを聴いていた。また、韓国で「当時流行っていた」Deepflowなどを好んでいた。日本語ラップではZeebraを聴いていたほか、OZROSAURUSの『Rollin’ 045』に衝撃を受けた。オーストラリアに半年間留学した際に格闘ゲームのDef Jam: Fight for NYに出会い、影響を受ける。このとき買ったリュダクリスのファーストアルバムが、初めて買ったヒップホップのCDであった。留学後は韓国のアメリカンスクールに入学し、友人が英語でフリースタイルをしていたのをきっかけに、自らもラップを始める。18歳でアメリカンスクールを退学し、日本の高校に転入する。
その後も韓国の友人と、スカイプで遊びの一環としてラップを続け、その延長でリル・ウェインの『A Milli』のビートで韓国語ラップを作る。友人に誘われてANARCHYと般若のライブを見たことをきっかけに、高校卒業後の2011年よりライブやレコーディングなどをするようになった。はじめてレコーディングした曲は『24 BARS TO KILL』の歌詞を英訳したものだった。地元の友人に一二三屋のサイファーに連れて行かれ、そこでWILYWNKAやYoung Cocoと知り合う。
キャリア
楽曲を録り溜め、2012年3月に初のEP『Welcome to Bang Bang I.K.N』を発表する。しかし、EPをリリースした後Jin Doggは違法薬物売買で大々的な失敗を犯してしまい、活動を休止する。「いるのが気まずくなった」Jin Doggはミナミを飛び、3年ほどラブホテルの清掃員などをして過ごした。「もともとハスラーキャラでもないし、ボスって感じでもない」というJin Doggは音楽性と自己の矛盾に悩んでいたが、休止期間にKOHHやMonyHorseの「ありのままを歌う」スタイルに出会い、道を見出す。Jin DoggはKOHHらの淡白なリリックに対して「どろどろとした」音楽を作りたいと考え、その中でBonesのライブスタイルやSuicideboysに強い影響を受ける。
2015年ごろ、イベントで紹介されたスタジオオーナーのYoung Yujiro(当時の名義はRadoo)と意気投合する。Jin DoggはYoung Yujiroのスタジオに通うようになり、ファーストミックステープ『1st High ~抱腹絶倒~』をリリースするにあたりレーベル「Hibrid Entertainment」を共同設立した。この頃キース・エイプやOkasianを通してトラップに触れる。このことにより、それまでGファンクの影響が強かったJin Doggの音楽性はトラップに近づいた。2017年にはセカンドミックステープ『2nd High』をリリースする。同ミックステープも1stと同様のスタイルで作られたが、ホラー映画のようなイメージが志向された。
2019年12月にアルバム『SAD JAKE』『MAD JAKE』の2枚組アルバムをリリースする。両アルバムでは激しさと感傷的さの二面性がテーマとなった。
音楽性
リリックの書き溜めはあまりせず、基本的にはスタジオで全てを仕上げるスタイルを取っている。楽曲制作のときには感情を重視しており、音楽を自分なりのストレス発散方法であるとしている。押韻をあまり重視せず、関西弁を生かした、話しているようなスタイルのラップを得意とする。
好きなアーティストとしてBones・Smokepurpp・Ghostemaneを挙げる。また、影響を受けたアーティストとしてANARCHY・MACCHO・漢・メシアTHEフライ・Gizmo・Baneを挙げる。
ディスコグラフィー
アルバム
タイトル | 発売日 | 備考 |
---|---|---|
SAD JAKE | 2019年12月13日 | |
MAD JAKE | 2019年12月13日 | |
3rd High "起死回生" (mixed by DJ BULLSET) | 2020年11月30日 | |
You Don't Know | 2021年10月7日 |
EP・ミックステープ
タイトル | 発売日 | 備考 |
---|---|---|
Jin Dogg - 1st High - 抱腹絶倒 - mixed by DJ BULLSET | 2016年4月19日 | |
JIN DOGG - 2nd High -魑魅魍魎- mixed by DJ BULLSET | 2017年10月13日 | |
HELL GATE | 2019年10月25日 | OVER KILLとのコラボEP。 |
出演
映画
- Sin Clock(2023年2月10日) - ヤス 役
インターネットテレビ
- my name is(ABEMA、2022年5月22日)
脚注
注釈
- ^ ただし、Jin Doggと同じ日本語学校に通っていたValkneeは「それは...彼だけ聴いてたんだと思います(笑)」と、このことを部分的に否定している。
出典
- ^ “RESOUND CLOTHING - JOEMONTANA×RESOUND コラボロングスリーブポケットビッグTシャツ / RCJ-T-001 / グレー”.LUKE ONLINESTORE. 2023年9月25日閲覧。
- ^ FNMNL 2017.
- ^ blackfilestv 2021.
- ^ HARDEST 2019.
- ^ HIP HOP DNA 2021a.
- ^ Red Bull 2019.
- ^ lute 2018.
- ^ JASON RODMAN 2020.
- ^ “【日本と韓国 : 隣国で暮らしてみて Vol.3 】”.FNMNL (2020年7月9日). 2022年3月6日閲覧。
- ^ HIP HOP DNA 2021b.
- ^ Qetic 2018.
- ^ “注目ラッパーJin Doggのミックステープ『2nd High』がリリース”.FNMNL (2017年10月13日). 2022年3月6日閲覧。
- ^ “Sin Clock : 作品情報”. 映画.com. 2023年1月29日閲覧。
- ^ Inc, Natasha. “Sin Clock | あらすじ・内容・スタッフ・キャスト・作品情報”. 映画ナタリー. 2023年1月29日閲覧。
- ^ “my name is:#18 Jin Dogg”. abemagraph.info. 2023年6月2日閲覧。
参考資料
- “【Rappers Update Vol.2】Jin Dogg”.FNMNL (2017年9月14日). 2021年4月22日閲覧。
- “加熱する関西TRAP MOVEMENT ~DIRTY KANSAI~【Hibrid Entertainment編】”.Qetic (2018年8月28日). 2021年4月22日閲覧。
- “Jin Dogg Documentary「I'm from DIRTY KANSAI」”.lute (2018年12月20日). 2021年4月22日閲覧。
- “Jin Dogg|大阪の「今」を代表する存在をめざしてひた走る(HARDEST MAGAZINE 2018年4月発刊号掲載)”.HARDEST (2019年2月26日). 2022年3月6日閲覧。
- “How The Next-Gen Of Asian Hip Hop is Taking Over The Music World | Asia Rising | Full Movie”.Red Bull (2019年3月29日). 2021年4月22日閲覧。
- “【Jin Dogg】"幼少時代について / ラップとの出会い" (前半)”.HIP HOP DNA (2020年1月10日). 2021年4月22日閲覧。
- “怒りをもろに出したアルバム。悩みを持ってたり… 色んな人に聴いてほしい|Jin Dogg インタビュー”.JASON RODMAN (2020年11月16日). 2022年3月6日閲覧。
- “【Jin Dogg】"今のスタイルを確立するまで" (後半)”.HIP HOP DNA (2020年1月17日). 2021年4月22日閲覧。
- “¥ellow Bucks・Jin Dogg・LEX、日本のヒップホップ最前線を伝えるラッパーたち | STREET STORIES - #7 HIPHOP | GQ JAPAN”.GQ JAPAN (2020年11月17日). 2021年4月22日閲覧。
- “INTERVIEW FILE : JIN DOGG”.blackfilestv (2021年9月30日). 2021年10月19日閲覧。