Hideaki Kumazawa
Quick Facts
Biography
熊澤 英昭(くまざわ ひであき、1943年〈昭和18年〉 - )は、日本の農林官僚。姓の「澤」は「沢」の旧字体であるため、熊沢 英昭とも表記される。
農林水産省畜産局局長、農林水産省経済局局長、農林水産審議官、農林水産事務次官、社団法人農協共済総合研究所理事長(第4・7代)、財団法人全国米穀取引・価格形成センター会長、チェコ駐箚特命全権大使(第2代)、農林水産省退職者の会会長などを歴任した。
来歴
生い立ち
1943年、岐阜県生まれ。東京大学法学部卒業。1967年に農林省に入省した。
官僚として
農林省を改組した農林水産省においては、大臣官房の総務審議官を務めたのち、畜産局や経済局の局長を歴任した。1998年には農林水産審議官となり、異例の長期在任を続けた事務次官の高木勇樹を支えた。
2001年、農林水産省再編後初の事務次官に就任した。ところが、牛海綿状脳症が政治問題化すると、農林水産大臣の武部勤が「感染源解明は酪農家にとってそんなに大きな問題なのか」「そんなに慌てることは無いです。また更にBSEは発覚しますから」などと放言を連発し、参議院に問責決議案が提出される事態となった。農林水産省は省内が混乱して対応が後手に回り、強い批判に晒されることになった。酪農家らからも抗議の声が高まり、ペンキで「タケベのアホ」「能なしタケベ」「農水省のバカ」などと書かれた「捨て牛」が熊本県や徳島県など全国各地で発見される椿事が起きるほど、大きな社会問題となっていった。その後、BSE問題の責任を問われ、事実上更迭される形で2002年付で退官した。なお、熊澤の辞任に際して大臣の武部はコメントを発表し、BSE問題の責任について「組織全体として問われるべきだ」と反省の弁を述べたが、自身の進退について質問されると一転して「農水省が抱える諸課題を解決していくことが私の責任の取り方」と主張し、辞任を拒否している。
退官後
退官直後、日本食肉協議会の会長である関谷俊作から「農水行政の経験からの助言をいただきたい。2月ごろから嘱託に就任してほしい」と要請されるも、これを辞退した。2004年、農協共済総合研究所の理事長に就任した。また、全国米穀取引・価格形成センターの会長にも就任した。
2005年から2008年にはチェコ駐箚特命全権大使を務めた。大使在任中の2005年は「日EU市民交流年」にあたることから、鬼太鼓座の和太鼓公演、力士を招いた相撲イベント「Japonske Sumo v Praze」、雅楽・舞楽・声明の公演「創造する伝統2005」などを手掛け、日本文化の紹介に努めた。また、長年に渡りチェコで日本文化を紹介してきた東洋学者のヴィェンツェスラヴァ・ハドリチコヴァーの功績を讃えるため、叙勲に向けて奔走した。ハドリチコヴァーの旭日小綬章受章に際しては「両国関係の緊密化を象徴するようなこと」とする祝意を述べた。また、2007年は日チェコ国交回復50周年にあたることから、大統領ヴァーツラフ・クラウスらが来日するなど要人往来も相次いだが。また、アジア13か国の在チェコ大使館が協力し、合同で各国の文化を紹介するイベント「Many Colours of Asia」を初めて開催した。
また、日本とチェコとの間で駐在員を派遣する企業、および、個人の社会保険料の負担軽減を図るため、2007年6月よりチェコの労働社会省との間で交渉を開始した。最終的に、労働社会大臣を兼務する副首相ペトル・ネチャスとの間で「社会保障に関する日本国とチェコ共和国との間の協定」の締結にこぎつけた。
なお、大使退任後、再び農協共済総合研究所の理事長となった。
略歴
- 1943年 - 岐阜県にて誕生。
- 1967年 - 東京大学法学部卒業。
- 1967年 - 農林省入省。
- 1976年- 農林省食品流通局砂糖類課課長補佐
- 1977年- 農林省農林経済局総務課課長補佐
- 1977年- 農林省食品流通局総務課課長補佐
- 1978年- 外務省在アメリカ合衆国日本国大使館一等書記官
- 1981年- 農林水産省大臣官房文書課課長補佐
- 1982年- 経済企画庁調整局調査官
- 1983年 - 農林水産省食品流通局企画課物価対策室室長。
- 1984年 - 農林水産省経済局国際部国際企画課課長。
- 1986年 - 農林水産省畜産局競馬監督課課長。
- 1986年 - 農林水産省食品流通局砂糖類課課長。
- 1991年 - 農林水産省大臣官房秘書課課長。
- 1993年 - 農林水産省経済局国際部部長。
- 1995年 - 農林水産省大臣官房総務審議官。
- 1995年 - 農林水産省畜産局局長。
- 1997年 - 農林水産省経済局局長。
- 1998年 - 農林水産省農林水産審議官。
- 2001年 - 農林水産省事務次官。
- 2002年 - 農林水産省退官。
- 2004年 - 農協共済総合研究所理事長。
- 2005年 - チェコ駐箚特命全権大使。
- 2008年 - 農協共済総合研究所理事長。
脚注
註釈
出典
- ^ 『週刊文春』2019年6月13日号 p.23
- ^ 「農林水産省人事(1月6日付)――新農水省がスタート」『農業協同組合新聞』農協協会。
- ^ 生田忠秀「農林水産省“高木長期体制”の弊害」『農林水産省“高木長期体制”の弊害:生田忠秀 | 記事 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト』新潮社、2000年11月。
- ^ 『日本経済新聞』日本経済新聞社、2001年12月27日、31面。
- ^ 「議案情報」『農林水産大臣武部勤君問責決議案:参議院』参議院、2002年4月5日。
- ^ BSE問題に関する調査検討委員会『BSE問題に関する調査検討委員会報告』2002年4月2日。
- ^ 土門剛「“アンタッチャブル”な食肉の世界」『“アンタッチャブル”な食肉の世界』農業技術通信社、2002年3月1日。
- ^ 「二の丸公園周辺で『捕物劇』――牛6頭放置――狂牛病で抗議?」『熊本日日新聞』熊本日日新聞社、2002年1月。
- ^ 「『雪印またか』批判の落書き牛――徳島中央公園に3頭放置」『徳島新聞』徳島新聞社、2002年1月。
- ^ 「狂牛病辞任――『組織』をいうなら大臣も」『神戸新聞』神戸新聞社、2001年12月26日。
- ^ 「文科省――天下りあっせん『他省庁も』――次官辞意、省内に動揺」『毎日新聞』毎日新聞東京本社、2017年1月19日。
- ^ 「人物往来」全国瑞穂食糧検査協会編集『農産物検査とくほん』153号、日本農民新聞社、2004年12月。
- ^ 「和太鼓グループ『鬼太鼓座』チェコ公演の開催」『Embassy of Japan in the Czech Republic』在チェコ共和国日本国大使館、2005年1月24日。
- ^ 「相撲イベント『Japonske Sumo v Praze』の開催」『Embassy of Japan in the Czech Republic』在チェコ共和国日本国大使館、2005年6月1日-6月3日。
- ^ 「雅楽・舞楽・声明公演“創造する伝統2005”の開催」『Embassy of Japan in the Czech Republic』在チェコ共和国日本国大使館、2005年11月29日。
- ^ 熊澤英昭「新年冒頭の御挨拶」『Embassy of Japan in the Czech Republic』在チェコ共和国日本国大使館、2007年1月。
- ^ 熊澤英昭「新年冒頭の御挨拶」『Embassy of Japan in the Czech Republic』在チェコ共和国日本国大使館、2008年1月。
- ^ 「『社会保障に関する日本国とチェコ共和国との間の協定』について(略称:日・チェコ社会保障協定)」『外務省: 「社会保障に関する日本国とチェコ共和国との間の協定」について(略称:日・チェコ社会保障協定)』外務省、2008年3月。
- ^ 「日・チェコ社会保障協定の署名について」『厚生労働省:日・チェコ社会保障協定の署名について』厚生労働省、2008年2月21日。
- ^ 『共済総合研究 Vol.54』. 農協共済総合研究所. (2009年3月).
- ^ 『農林水産省名鑑』 1990年 農林出版社
関連人物
- 新井昌一
- 武部勤
- 原田親仁
- 渡辺好明 (農林官僚)
関連項目
- 農林水産省
- 特命全権大使
公職 | ||
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先代: 高橋恒一 | チェコ駐箚特命全権大使 第2代:2005年 - 2008年 | 次代: 原田親仁 |
先代: 高木勇樹 | 農林水産省事務次官 2001年 - 2002年 | 次代: 渡辺好明 |
非営利団体 | ||
先代: 新井昌一 田原文夫 | 農協共済総合研究所理事長 第4代:2004年 - 2005年 第7代:2008年 - 2010年 | 次代: 新井昌一 今尾和實 |
農林水産事務次官 | |
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農林水産事務次官 | |
農林事務次官 |
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農林水産事務次官 |
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農林事務次官 |
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農林水産事務次官 |
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在チェコ日本大使 | |
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在チェコ日本大使 | |
在チェッコスロヴァキア全権公使 |
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在プラーグ(プラハ)総領事 |
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在チェッコスロヴァキア全権大使 |
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在チェッコ・スロヴァキア全権大使 |
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在チェッコ(チェコ)全権大使 |
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在チェッコスロヴァキア全権公使 |
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在プラーグ(プラハ)総領事 |
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在チェッコスロヴァキア全権大使 |
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在チェッコ・スロヴァキア全権大使 |
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在チェッコ(チェコ)全権大使 |
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