Hideho Arita
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Biography
有田 秀穂(ありた ひでほ、1948年1月28日 - )は日本の脳生理学者、医師。専門領域は呼吸の脳神経学、セロトニン神経の機能と活性法、坐禅の科学。「セロトニン」が心身の元気とハピネスに関係する脳内物質であることを研究し、それを世間に広める仕事をしている。東邦大学医学部名誉教授。セロトニンDOJO代表。
経歴
東京都三鷹市出身、東京都立小石川高等学校卒業。東京大学医学部在学中に、『潜り人、92歳。』の著者である大崎映晋にダイビングを習い、東大海洋研究会を設立し、初代会長となった。大学闘争のために1年間休講となり、テントを持って「放浪の素潜り旅」を行い、小笠原や沖縄をはじめ、佐渡島、舳倉島、能登半島、隠岐の島、室戸岬、串本、伊豆半島、伊豆諸島などを巡った。この生活が、その後の生き方や研究の原点になった。
1974年、海洋開発研究機構JAMSTEC(旧海洋科学技術センター)による国家プロジェクト「シードラゴン計画」(300メートル深海潜水医学実験)に医学研究者として参加、プロダイバーと共に31気圧環境を体験した。
1976年、潜水医学実験で知己を得た東海大学内科教授・山林一の誘いで、内科の助手となり、呼吸器学を専攻した。その間、東海大の望星丸(1,100トン)で船医としてハワイ航海、沖縄の僻地医療にも短期間従事した。
1980年、世界の潜水医学のメッカである米国ニューヨーク州立大学バッファロー校にフェローとして招かれ、2年半留学し、サイエンスを育む社会環境に触れた。それは、独創性とチャレンジ精神を尊び、創意工夫で自ら研究装置を制作し、首尾良く成就した暁には、年齢・キャリア・人種を問わず賞賛される社会であり、他方で、批判精神も旺盛で、それに耐えた本物だけが生き残る世界であった。呼吸の脳神経学で世界をリードする研究者達と交友関係を結んで帰国、1年後に新設の筑波大学基礎医学系から講師のオファーがあり、1984年に生理学に転向し、脳幹・呼吸中枢の神経学的研究で世界的に活躍した。
1990年、東邦大学医学部第一生理学の助教授となり、睡眠時無呼吸の実験研究を通じてセロトニンに出会った。45歳の時に国際会議で訪問したマルセイユの港町で、「坐禅の心身に与える影響はセロトニン神経の働きで説明出来る」というアイデアが突然頭に溢れてきたという啓示的エピソードが語られている。2000年に主任教授になって研究チームを組織し、「坐禅の丹田呼吸法を脳科学で読み解くヒューマン実験」を本格的に開始、セロトニン神経が中心的役割を担う事を証明し、サイエンスの国際誌に掲載された。また、脳内セロトニンが性ホルモンやオキシトシン(授乳やスキンシップで活性化される)で影響を受けることも解明した。
2013年、東邦大学名誉教授になり、それまでの医学研究を臨床応用すべく、御徒町駅前にセロトニンDojoを開設し、メンタルヘルスのセルフケアを指導し始めた。
2015年、日本ヒーリングリラクセーション協会の会長に就任。
その他、2000年より12年間、中外医学社の月刊誌「Clinical Neuroscience」の編集委員。日本自律神経学会理事、国際生命情報科学会(ISLIS)会長。
「坐禅の科学」を研究する脳生理学者として、著名な仏教関係者と対談:曹洞宗の元貫首で御誕生寺住職の板橋興宗禅師、臨済宗の住職で芥川賞作家の玄侑宗久、スリランカのテーラワーダ仏教のアルボムッレ・スマナサーラ、高野山大学准教授の井上ウィマラと対談、著書として出版された。
月刊誌「Clinical Neuroscience」に生理学コラムを144回(12年間)連載、二冊の単行本「脳内物質のシステム神経生理学」、「人間性のニューロサイエンス」として出版された。
日本武道館発行の月刊「武道」に「脳を活性化する」のテーマで3年間連載、単行本として出版された。
呼吸に関連するあらゆる分野(医学・心理学・仏教・声楽・能・気功など)を網羅する「呼吸の事典」を監修した。
米国留学中に覚えたラケットボールを30年以上続け、関東大会シニアで3位入賞を2度果たした。
著書
- 『セロトニン呼吸法』 (高橋玄朴と共著) 地湧社 2002年
- 『セロトニン欠乏脳 - キレる脳・鬱の脳を鍛え直す』 生活人新書 2003年
- 『禅と脳』 (玄侑宗久と共著) 大和書房 2005年 のちに文庫
- 『脳内セロトニン・トレーニング』 かんき出版 2005年
- 『人体の構造と機能』 (原田玲子と共著) 朝倉書店 2005年
- 『呼吸の事典』 (監修) 朝倉書店 2006年
- 『脳内物質のシステム神経生理学』 中外医学社 2006年
- 『呼吸を変えれば「うつ」はよくなる』 PHP 2007年
- 『瞑想脳を拓く』 (井上ウィマラと共著) 佼成出版 2007年
- 『セロトニン脳活性法』 大和書房 2007年
- 『われ、ただ足るを知る』 (板橋興宗と共著) 佼成出版 2008年
- 『脳からストレスを消す技術』 サンマーク出版 2008年 のちにKindle版、さらに中国と韓国で翻訳出版
- 『共感する脳』 PHP新書 2009年 のちにKindle版
- 『ストレスに強い脳、弱い脳』 青春新書 2009年 のちにKindle版
- 『「セロトニン脳」健康法』 (中川一郎と共著) 講談社プラスα新書 2009年
- 『歩けば脳が活性化する』 WAC BUNKO 2009年
- 『仏教と脳科学』 (アルボムッレ・スマナサーラと共著) サンガ 2010年
- 『認知症介護はセロトニン力で楽になる』 青春新書 2010年
- 『ストレスすっきり!!脳活習慣』 徳間書店 2010年
- 『心のストレスが消える処方箋』 別冊宝島 2010年
- 『切替脳の活かし方』 ビジネス社 2011年
- 『まんが セロトニン健康法』 (松本麻希作品の監修) 講談社 2011年
- 『セロトニン睡眠法』 青春出版 2011年
- 『育脳の技術』 主婦と生活 2011年
- 『脳ストレスが消える生き方』 サンマーク出版 2011年
- 『男の子の脳の育て方』 かんき出版 2011年
- 『「親切」は驚くほど体にいい』 (デイビット・ハミルトン著の翻訳・監修) 飛鳥新社 2011年
- 『人間性のニューロサイエンス』 中外医学社 2011年
- 『思春期の女の子の気持ちがわかる本』 かんき出版 2011年
- 『セロトニン呼吸法』 (高橋玄朴と共著) 青春新書 2011年
- 『脳からストレスをスッキリ消す事典』 PHPビジュアル実用BOOKS 2012年
- 『「心のバネ」を強くする』 ぱる出版 2012年
- 『「脳の疲れ」がとれる生活術』 PHP文庫 2012年 のちにKindle版
- 『「会社帰りに一杯」の習慣は大正解だった』 マイナビ新書 2012年
- 『医者が教える正しい呼吸法』 かんき出版 2013年
- 『「うつ」が消える食べ方&レシピ』 (弥富秀江と共著) 河出書房新社 2013年
- 『50歳から脳を整える』 成美文庫 2013年
- 『涙活でストレスを流す方法』 (寺井広樹と共著) 主婦の友社 2013年
- 『脳を活性化する - 武道とセロトニン』 日本武道館 2014年
CD・DVD等
- CD『ラジオ深夜便 「安らかな心を育む」』 NHK 2006年
- CD『Walking Therapy - セロトニン活性』 (監修) Della 2008年
- DVD『目で見る解剖と生理 「呼吸」』 医学映像教育センター 2009年
- CD『パワーレクチャー講演 朝5分間のセロトニン脳健康法』 暦日会 2010年
- CD『脳ストレス解消』 (監修) Della 2011年
- DVD『ビジネスマン健康カレッジ 「脳からストレスを消す技術」マネジメント講座』 ビジネス・ブレークスルーKLP 2012年
主なメディア出演
- NHKテレビ「Weekend Japanology」 『Zen』 2006年
- NHKテレビ「クローズアップ現代」 『キレる大人 出現の謎』 2007年
- NHKテレビ「解体新ショー」 『あがり』 2008年
- フジテレビ「エチカの鏡」 特集『ココロに効くTV』 2010年
- NHK・Eテレ「極める!千住明の聖地学」 『熊野』 2011年
- テレビ東京 「たけしのニッポンのミカタ」 『ストレスは解消するな!?』 2011年
その他、多数のテレビ出演、ラジオ出演がある。
脚注
参考リンク
- セロトニン DOJO
- セロトニン
- オキシトシン
出典
- セロトニンDOJO
- 経歴の中でエピソードに関するものは 『ストレスすっきり!!脳活習慣』 徳間書店 2010年、の中に記載あり
- 経歴について最新のものは 『脳を活性化する – 武道とセロトニン』 日本武道館 2014年を参照
- 書籍、CD/DVD等についてはAmazonにすべて記載
- 『脳からストレスを消す技術』 サンマーク出版 2008年
- 『セロトニン欠乏脳 - キレる脳・鬱の脳を鍛え直す』 生活人新書 2003年