YDIZZY
Quick Facts
Biography
YDIZZY(ディージー、1994年 - )は、日本のラッパーである。ヒップホップクルーであるkiLLa(キラ)の中心メンバーであり、退廃的なムードと享楽的な世界観を持ち味とする。過去の名義としてdiZZyがある。
来歴
生い立ち
1994年、渋谷区神山町で生まれる。音楽は「気づいた時から好き」であった。小学1、2年生の頃から自分でCDを借り、気に入った曲をMDに集めて自分だけのアルバムを作り、ウォークマンで聴きながら学校に通っていた。当時はザ・ブルーハーツや横浜銀蝿、ヒップホップではLL・クール・Jや50セント、D12などを好んで聴いていた。日本語ラップは、K DUB SHINEが「地元の先輩」で、身の回りでよくライブしていたこともあり、キングギドラなどを聴いていた。この頃、同じ小学校のひとつ年上だったNo Flowerと出会う。幼稚園児のときは医者、小学生の時はヤクザになるのが夢だった。
小学生のころからバスケットボールをはじめ、Arjunaと、その弟であるBLAISE、kZmと出会う。中学卒業後は「中目黒にある学校の体育科」に通い、そこで後輩のKEPHAと親交を深める。YDIZZYはストリートボールの大会であるALLDAYにも出場し、バスケットボール選手になることを目指していたものの、メンタルが弱すぎたことと背が伸びなかったこと、捻挫が癖になってしまったことを理由に挫折した。
高校卒業後も彼らは代々木公園に集まり、ストリートバスケを行った。プレイヤーとしては「ポイントガード寄りのシューティングガード」だった。kZmが18、9歳のころ、「自分たちが着たい服が世の中にない」という理由から「kiLLa」というブランドを作り、「そのブランドのルックを作る時に、周りのイケてる奴らを出した」ことを契機として、この友人集団はヒップホップクルーのkiLLaとして知られるようになる。
キャリア
YDIZZYらの集団にkiLLaという名前がついたころ、クルーは音楽を作りはじめるようになる。最初にラップをはじめたのはkZmで、YDIZZYが成人をむかえる少し前のことだった。彼はクラブで遊ぶことはあっても自分がプレイヤー側になることにはあまり興味を持っておらず、当初はkZmの楽曲制作も冷めた目で見ていた。Arjunaがラップをはじめ、クルーで彼らの音楽が流れはじめる中でYDIZZYも音楽に興味を持ち出し、流れに乗るかたちでラップをはじめることとなる。当初はバスケのゲームが終わった後にビートを流し、遊びでラップしていたという。はじめて収録した曲は「Mic Check」で、「意気込み的にはそん時ゼロだったすけど、けっこうイケイケで行った」という。2015年3月15日にミックステープ『Syndrome』をリリースする。
ラップをはじめて3~4か月ほど経った、「Ice Cold City」をリリースしたころ、Chaki Zuluに声を掛けられ、アルバムの制作を持ちかけられる。また、2016年には彼を経由した縁もあり、Anarchyの「NO FEAR」にも参加した。この頃、YDIZZYは「人とも喋れないし、本当に何もできなくなって、家から出れなくなって」しまった時期を経験した。彼は自殺を考え、青木ヶ原樹海まで足を運んだものの、命を絶つことはできず、家に戻った。kiLLaのメンバーは彼のもとを訪れ、励ましてくれたもののYDIZZYはそれに対して「ほんと無理、無理、ほんと無理だから」と言い続けた。1stアルバム『DIZZiNESS』に収録される「MURI MURI」はこの経験をもとにつくられた。こうした時期が3~4か月ほどつづいたものの、Youtubeでラッパーのライブや、Chief Keefのドキュメンタリーなどを視聴して立ち直る。
「 | この理由はみんなよくわからないって言うけど、なぜかって言ったら、おれの元々の夢は仲間と笑っていられることで、笑うためにはおれは戻らないといけないし、やっぱ仲間のために裏切れないし、それで戻った。やるって決めて、速攻でランニング始めて、すごい太ってたから。その日にリリック書いて。それまでは全然書けなかったから、その勢いでごまかして書いて、書けたからNO FLOWERに「まだ遅くない?」って聞いたら「全然遅くないよ」って言われて。 | 」 |
—YDIZZY(FNMNL 2017) |
2016年の9月か10月ごろにYDIZZYはスランプから脱却し、10月28日には2ndミックステープ『Syndrome II』、2017年3月29日には『Syndrome III』をリリースする。これらのEPは、「待ってたくれた人たちのため」にフリー音源として公開された。
1stアルバムである『DIZZiNESS』は2017年6月7日にリリースされた。レコーディングスタジオにあまり入らなかったことや、スランプがあったことなども関係し、アルバムの完成までには2年ほどかかった。ビートはすべてChaki Zuluが担当し、ラップにも客演は入らなかった。YDIZZYは同アルバムを「今できる俺の全てで、今の俺のベスト」と位置づけ、性別や、普段ヒップホップを聴くかに関わらず、「全員に聴いてもらいたい」と語った。10月1日には『Syndrome IV』をリリースする。同盤にはkiLLa外部から、アメリカのラッパーであるBONE$ THE SPITTAと台湾のラッパーであるYZが参加した。
その後、2017年末より消息を絶つも、2018年9月16日にアルバム『TROCKSTAR Season1』をリリースする。その後、再び1年にわたり沈黙を守ったのち、2020年2月2日に同アルバム収録「Byuuuun!」のMVを公開する。5月2日にはBLAISEとの共作アルバムである『SOBADSO』をリリースする。2021年11月26日に『TROCKSTAR Season2』をリリースする。
音楽性
FNMNLは、YDIZZYの音楽性を「退廃的なムードと享楽的な世界観をラップと歌で共存させるスタイル」であると表現している。
「頭の中で出てきた音に対して言葉を足してく」ようにして楽曲を制作している。1曲をつくるのに30分ほどしかかからないが、細部を調整し、完成させるまでには3~4時間かけるという。最も影響を受けたラッパーとしてエミネムを挙げているほか、影響を受けたアーティストとして今井美樹や森山直太朗、MAXO CREAM、XXXTENTACION、CHIEF KEEF、よく聴くアーティストとして尾崎豊、WANDSを挙げている。
ディスコグラフィ
アルバム・EP
タイトル | 発売日 | 収録曲 | 備考 |
---|---|---|---|
DiZZiNESS | 2017年6月7日 | ||
TROCKSTAR Season1 | 2018年9月16日 | ||
SOBADSO | 2020年5月2日 | BLAISEとの共作アルバム。 | |
TROCKSTAR Season2 | 2021年11月26日 | 収録曲
|
ミックステープ
タイトル | 発売日 | 収録曲 | 備考 |
---|---|---|---|
Syndrome | 2015年3月15日 | ||
Syndrome II | 2016年10月28日 | ||
Syndrome III | 2017年3月29日 | 収録曲
| |
Syndrome IV | 2017年10月1日 |
配信限定シングル
発売日 | タイトル |
---|---|
2017年6月2日 | GAAAA (feat. BLAISE) |
2018年7月9日 | Abloom |
2018年7月16日 | One Time |
2018年7月23日 | 簡単じゃない |
2018年8月6日 | D. W. a... (feat. SALU) |
2020年2月22日 | JIMINY |
2020年2月23日 | WTF |
2020年3月30日 | EL thought |
2020年3月31日 | Melody |
2022年2月28日 | IDWD (First Day Out) / YDIZZY & BLAISE |
2022年12月30日 | SIMF |
2023年1月27日 | Hero |
2023年2月3日 | 邪眼 (feat. NO FLOWER) |
2023年2月10日 | Different (feat. BSTA) / YDIZZY, BLAISE & S TILL I DIE |