Teizō Kawamura

川村 禎三（かわむら ていぞう、1922年7月14日 - 2003年1月16日）は日本の柔道家（講道館9段）。

岩手県矢巾町に生まれ、旧制盛岡中学校（現・県立盛岡第一高校）へ進学。中学時代には、旧制仙台二高が開催していた近県の柔道大会（団体戦）で圧倒的な体格と強さを発揮し、盛岡中学を優勝に導いた。また中学5年次には、岩手県予選を勝ち抜いて府県選士として昭和天覧試合にも出場している。

1941年（昭和16年）に東京高等師範学校体育科二部（柔道専攻）に入学し、5月7日付で講道館へ入門。高師での学生時代には同期の安部一郎（のち10段）らと共に厳しい稽古に明け暮れた。1944年（昭和19年）同校を卒業。

東京第二師範学校（のち東京学芸大学）に着任し、講師、助教授、教授を歴任する。この間1948年の全国十地区対抗大会に東京代表で選出され優勝したほか、1951年の全日本東西対抗大会には東軍選手として出場。1953年（昭和28年）から55年（昭和30年）まで英国に留学し、1953年にベルギーのブリュッセルで開催された第4回ヨーロッパ選手権では、フランスの粟津正蔵やオランダの道上伯らと共に審判員を務めた。この大会の4段の部の決勝戦、アンリ・クルティーヌ（フランス）とアントン・ヘーシンク（オランダ）との試合では、クルティーヌの小内刈の技あり判定に対しフランス側から抗議が出て試合が一時中断するなどしたが、川村の筋の通った説明で事態を収拾している。

1975年（昭和50年）からは筑波大学教授となり、1978年（昭和53年）から1982年（昭和57年）まで大学院修士課程長を務める。1986年（昭和61年）に定年退職して筑波大学名誉教授を拝命。同年4月から講道館審議部調査部長として段位認定に関する業務に携わった。その後も講道館評議員・同審議部長・同参与のほか、全日本柔道連盟理事・同評議員、日本武道学会会員・同常任理事、武道評議会委員等を歴任する。 また文部省（のち文部科学省）主催の学校体育指導者実技講習会の講師として、1963年（昭和38年）から1984年（昭和59年）に渡り実技指導を通じて学校体育の正しい指導法の普及に尽力した。

柔道の国際普及に関する貢献が顕著で、技術指導のほか1961年（昭和36年）には国際柔道連盟初代スポーツ理事に就任し、国際ルール、スポーツコードの作成、世界選手権大会やオリンピックの運営といった多岐に渡る業務を担当し、1979年（昭和54年）に辞任するまでの18年間に渡り国際柔道の整備に尽くして国際柔道連盟の名誉会員（永久）に。 これら永年の功績から、1992年の講道館創立110周年記念式典において講道館より9段位を、1998年には日本国政府より叙勲三等授瑞宝章受章の光栄に浴した。

その後2002年11月より急性肺炎のため入院していたが、翌03年1月16日に死去した。2003年叙従四位。

• 『柔道トレーニング法』 ベースボールマガジン社 1958年
• 『写真で見る柔道』 ベースボールマガジン社 1954年
• 『入門双書柔道』 ベースボールマガジン社 1960年
• 『柔道技の練習法』 ベースボールマガジン社 1982年

• 『柔道大事典』（共著者／嘉納行光・中村良三・醍醐敏郎・竹内善徳・佐藤宣践）1999年11月　アテネ書房　ISBN 4871522059

注釈

出典

• 柔道家一覧
• 岩手県出身の人物一覧
• 東京教育大学の人物一覧