Kunitsune Utagawa

歌川豊国の門人。国経、国常と号す。田尻村の斎藤源左衛門の子。俗称は源三郎または源蔵。江戸へ出て豊国の門人となり浮世絵を学んで国経、または国常と号した。また、湯島天神境内に住んでいた講釈師の伊東燕音（宝暦11年‐天保11年）に師事しており燕太の号で江戸街頭において講釈をしたとも伝えられる。斎藤家その他に遺作がある。26歳の時の絵馬「遊女図額」をみると豊国寛政末年頃の画風で、相当の才筆であり、国政に次ぐ豊国古参の弟子でありながら豊国先生瘞筆之碑にも国経の名は見られず、全く知られていなかったが、近年になって享和3年（1803年）の書画会の摺物に豊国門人としてその名を連ねている。

上荻野真弓にある菩提寺の松石寺の過去帳に「燕山太栄上座 田尻村源左衛門悴」と記され、墓石には「帰元燕山太栄上座位」、側面には「講師東湯嶋伊東燕晋門人 同燕太 画師江東歌川豊国門人 同源三国常 俗名斎藤源蔵 文化五戊辰年六月十九日 行年三十二歳歿とある。享年32。

• 「遊女図額」絵馬 比々多神社（神奈川県伊勢原市）所蔵 国経26歳の作、「東都一陽斎歌川豊国門人国経画 享和二歳十二月吉日」と記される。

• 吉沢忠 「歌川国経の絵馬」 『国華』822号
• 日本浮世絵協会編 『原色浮世絵大百科事典』第2巻 大修館書店、1982年 ※115頁

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