吉川 忠夫(よしかわ ただお、1937年1月5日 - )は、日本の東洋史学者。京都大学名誉教授、日本学士院会員。専門は中国中世思想史。父は中国文学者の吉川幸次郎。
来歴
京都府出身。1959年、京都大学文学部史学科を卒業、1964年、同大学院文学研究科を単位取得退学。東海大学文学部講師、京都大学教養部助教授を経て、1974年、京都大学人文科学研究所助教授。1984年に同教授となり、1991-1993年、同所の所長を務めた。
2000年に京大を定年退官し、名誉教授の称号を受け、同年、花園大学客員教授、国際禅学研究所所長となった。のちに龍谷大学文学部教授を経て、同客員教授。
2006年に日本学士院会員となる。2009年1月の「講書始の儀」で「後漢、六朝時代における中国人の仏教受容」を進講した。同年9月より東方学会会長に就任(2011年秋まで、現在は顧問)。2013年文化功労者。
著作
単著
- 『劉裕』 人物往来社<中国人物叢書3>、1966年 / 中公文庫、1989年 ISBN 4122016711
- 『王羲之 六朝貴族の世界』 清水書院「人と歴史シリーズ」、1972年
- 清水新書017(新装版)、1984年 / 新・人と歴史05(新訂版)、2017年
- 『侯景の乱始末記 南朝貴族社会の命運』 中公新書、1974年
- 『六朝精神史研究』 同朋舎出版<東洋史研究叢刊36>、1984年
- 『中国古代人の夢と死』 平凡社選書、1985年 ISBN 4582822894
- 『秦の始皇帝』 「中国の英傑1」集英社、1986年 / 講談社学術文庫、2002年 ISBN 4061595326
- 『書と道教の周辺』 平凡社、1987年 ISBN 458220841X
- 『古代中国人の不死幻想』 東方書店〈東方選書〉、1995年 ISBN 4497954463
- 『三余録 余暇のしたたり』 中外日報出版局、1996年 ISBN 4795217262
- 『風呂で読む竹林の七賢』 世界思想社、1996年 ISBN 479070632X
- 『中国人の宗教意識』 創文社<中国学芸叢書5>、1998年 ISBN 4423194112
- 『読書雑志 中国の史書と宗教をめぐる十二章』 岩波書店、2010年1月 ISBN 4000241494
- 『王羲之 六朝貴族の世界』 岩波現代文庫、2010年10月 ISBN 4006002432。関連論考を増補
- 『顔真卿伝 時事はただ天のみぞ知る』 法蔵館、2019年1月
- 『侯景の乱始末記 南朝貴族社会の命運』 志学社選書、2019年12月。論考「史家范曄の謀反」を増補
訳書
- 『魏晋清談集』 講談社<中国の古典>、1986年、ISBN 4061914235
- 主な内容は『世説新語』の原文・読み下し・訳注解説。
- 『漢書五行志』 班固撰、冨谷至共訳注、平凡社東洋文庫
- 1986年 ISBN 4582804608、ワイド版2007年 ISBN 4256804609
- 『弘明集 広弘明集』 中央公論社〈大乗仏典中国・日本篇4〉、1988年 ISBN 4124026242。現代語編訳
- 范曄 『後漢書』(訓注)、全10巻・別冊(人名索引・地名索引)、岩波書店、2001年-2007年
- 慧皎 『高僧伝』 船山徹共訳注、岩波文庫(全4巻)、2009年-2010年
- ジョゼフ・ニーダム 『中国の科学と文明 第2・3巻 思想史』 訳者代表(思索社、1981年、新装版1991年)
編著
- 『中国古道教史研究』(京都大学人文科学研究所研究報告)同朋舎出版、1992年 ISBN 4810410501
- 『六朝道教の研究』(京都大学人文科学研究所研究報告)春秋社、1998年 ISBN 4393269020
- 『眞誥研究 譯注篇』麥谷邦夫と共編(京都大学人文科学研究所研究報告) 京都大学人文科学研究所、2000年
- 『唐代の宗教』(京都大学人文科学研究所研究報告) 朋友書店、2000年 ISBN 4892810762
- 『周氏冥通記研究 譯注篇』麥谷邦夫と共編(京都大学人文科学研究所研究報告) 京都大学人文科学研究所、2003年
脚注
- ^ 『読売年鑑 2016年版』(読売新聞東京本社、2016年)p.352