翁 邦雄(おきな くにお、1951年 - )は、日本の経済学者。日本銀行金融研究所所長を歴任。現在は京都大学公共政策大学院教授。専門は金融論。
人物
東京都出身。東京大学経済学部を卒業後、日本銀行へ入行。日銀内部における金融研究の第一人者として長らく活躍し、日銀エコノミストとして学界では有名な存在であった。特に、「日銀理論」と称されるものについて、その精緻化を進めたことは特筆すべき事項である。1990年代以降の経済学者達との政策論争においては、必ず矢面に立って、日本銀行を理論面で防御。更には実務家としての強みを活かして、現実論からの反転攻勢を仕掛けた。中でも、岩田規久男との間に繰り広げられた「マネーサプライ論争(翁-岩田論争/岩田-翁論争)」は熾烈を極め、植田和男の仲裁が入るまで、互いに知恵の限りを尽くした。妻は翁百合(日本総合研究所理事)。
経歴
- 1974年 東京大学経済学部を卒業、日本銀行入行
- 1980年 シカゴ大学留学
- 1983年 シカゴ大学でPh.D 取得
- 1984年 日本銀行金融研究所副調査役
- 1985年 筑波大学社会工学系助教授
- 1988年 日本銀行総務局調査役
- 1989年 日本銀行金融研究所調査役
- 1992年 日本銀行調査統計局企画調査課長
- 1994年 日本銀行金融研究所研究第1課長
- 1997年 日本銀行企画局参事(金融研究所・営業局兼務)
- 1998年 日本銀行金融研究所所長
- 2006年 中央大学研究開発機構教授
- 2009年 京都大学公共政策大学院教授
著書
単著
- 『期待と投機の経済分析』(東洋経済新報社 1985年)
- 『金融政策』(東洋経済新報社 1993年)
- 『金利の知識』(日本経済新聞社 1996年)
- 『ポスト・マネタリズムの金融政策』(日本経済新聞出版社 2011年)
- 『金融政策のフロンティア--国際的潮流と非伝統的政策』(日本評論社 2013年)
- 『日本銀行』(筑摩書房<ちくま新書> 2013年)
- 『経済の大転換と日本銀行』(岩波書店 2015年)
共著
- 『金融・入門』(JICC出版局 1991年)
- 『ゼミナール 国際金融』(東洋経済新報社 1993年)
- 『金融政策の論点』(東洋経済新報社 2000年)
- 『ゼロ金利と日本経済』(日本経済新聞社 2000年)
共編著
- 『ポスト・バブルの金融政策』(ダイヤモンド社 2001年)
- 『バブルと金融政策』(日本経済新聞社 2001年)
脚注
外部リンク