佐原 光一(さはら こういち、1953年11月10日 - )は、日本の政治家、国土交通官僚。愛知県豊橋市長(3期)。
経歴
愛知県豊橋市出身。豊橋市立栄小学校、豊橋市立南部中学校、愛知県立時習館高等学校卒業。
1976年(昭和51年)3月、東京大学工学部航空学科卒業。同年4月、運輸省(現国土交通省)港湾局に入省。1986年(昭和61年)、外務省に出向。在ブラジル日本国大使館一等書記官に就任。運輸省第三港湾建設局境港工事事務所長、パナマ共和国海運庁(国際協力事業団(現国際協力機構(JICA))長期専門家)、国土交通省港湾局環境・技術課長、国土交通省中部地方整備局副局長などを務めた。境港工事事務所長時代には、鳥取県境港市の水木しげるロードプロジェクトに尽力した。
2008年(平成20年)、自民党衆議院議員の山本明彦の働きかけを受け、豊橋市長選挙への立候補を決意し、国土交通省を退職。11月9日の市長選で初当選した。11月17日、市長就任。現在、3期目。
市長選の結果
- 2008年豊橋市長選挙
2008年11月9日執行。前自民党県議の小久保三夫、4選を目指す現職の早川勝を破り初当選を果たした。
※当日有権者数:289,228人 最終投票率:45.55%(前回比:+13.8%)
候補者名 | 年齢 | 所属党派 | 新旧別 | 得票数 | 得票率 | 推薦・支持 |
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佐原光一 | 55 | 無所属 | 新 | 51,102票 | 39.17% | (推薦)自由民主党 |
小久保三夫 | 67 | 無所属 | 新 | 43,481票 | 33.33% | |
早川勝 | 67 | 無所属 | 現 | 35,868票 | 27.50% | |
- 2012年豊橋市長選挙
2012年11月11日執行。元衆議院議員の杉田元司を破り再選。
※当日有権者数:291,834人 最終投票率:41.16%(前回比:-4.39%)
候補者名 | 年齢 | 所属党派 | 新旧別 | 得票数 | 得票率 | 推薦・支持 |
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佐原光一 | 59 | 無所属 | 現 | 62,867票 | 53.04% | |
杉田元司 | 61 | 無所属 | 新 | 55,671票 | 46.96% | |
- 2016年豊橋市長選挙
2016年11月13日執行。日本共産党県委員の串田真吾を破り3選。
※当日有権者数:299,984人 最終投票率:29.82%(前回比:-11.34%)
候補者名 | 年齢 | 所属党派 | 新旧別 | 得票数 | 得票率 | 推薦・支持 |
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佐原光一 | 63 | 無所属 | 現 | 63,600票 | 72.41% | (推薦)自由民主党・公明党 |
串田真吾 | 40 | 無所属 | 新 | 24,239票 | 27.59% | (推薦)日本共産党 |
市政・人物
- ユニチカ跡地売却訴訟問題
- 2015年(平成27年)10月1日、ユニチカが市内曙町松並の事業所跡地約27万平方メートルを積水ハウスに63億円で売却。この土地は1951年(昭和26年)4月にユニチカ(当時の社名は大日本紡績株式会社)が市から無償で譲り受けた旧軍用地で、締結された契約書には「大日本紡績株式会社は、将来敷地の内で使用する計画を放棄した部分は、これを豊橋市に返還する」と記載されていた。豊橋市民130人は無償で譲り受けた土地を売却したのは契約違反として、2016年(平成28年)8月23日、ユニチカに63億円の損害賠償を支払わせるよう、市長である佐原に求める訴えを提起した。原告団の団長は愛知大学名誉教授の宮入興一。
- ユニチカは売却の前年の2014年(平成26年)10月9日、佐原に「今後、敷地の売却及び開発を行うにあたり、豊橋市様にご相談させて頂きたい」と記載した文書を提出しており、市の責任が強く問われる住民訴訟となった。
- 2018年(平成30年)2月8日、名古屋地方裁判所は住民側の訴えを認め、佐原に全額の請求を命じた。佐原は「賠償請求できる立場にない」として、2月19日、補助参加人のユニチカとともに控訴した。
- 2019年(令和元年)7月16日、名古屋高等裁判所は「工場などに使っていなかった一部の土地は返還義務があり、市は賠償請求すべきだ」として、訴えを全面的に認めた一審判決を変更し、佐原に約20億9千万円の請求を命じた。被告の佐原、補助参加人のユニチカ、原告側の住民がそれぞれ、7月29日付で上告した。
- 豊橋公園の新アリーナ建設計画
- 2017年(平成29年)3月24日、首相官邸で開かれた第6回未来投資会議に佐原は出席。豊橋公園の芝生広場に多目的屋内施設(新アリーナ)を建設する構想を発表した。同年12月29日、新アリーナの建設・運営に関して、民間事業者から事業提案を募る方針を発表。
- 2018年(平成30年)9月21日、市は「新アリーナ」の建設・運営について、協議する対象事業者をゼビオホールディングスの子会社のクロススポーツマーケティング株式会社(以下、XSM)に決定した。XSMの提案によると、建築面積は6,790平方メートル。競技場面積はバスケットボールコート3面分。年間を通してアイスリンクの利用が可能。XSMが初期投資となる建設費50億円の全額を負担。30年間の更新・修繕費30億円と運営費の30億円も負担する。市は30年間で使用料60億円を支払い、更新・修繕費1億円を負担する。駐車場不足などが課題とされているが、市は2021年9月の供用開始を目指すと述べた。
- 2019年(令和元年)6月12日、市は最終の基本協定案をXSMに提示。6月28日、XSMは基本協定の条件として、バスケットボールB1リーグチーム「三遠ネオフェニックス」が新アリーナを30年間使い続けることを、チームの運営会社、株式会社フェニックスと市の間で確約するよう求めた。市は、今後の協議の継続は難しいとして、7月9日付でXSMとの協議を打ち切った。
- 連続テレビ小説の要望運動
- 作曲家の古関裕而と、豊橋市出身の妻・古関金子を主人公にした連続テレビ小説の製作を求める運動を、市長として行った。2017年(平成29年)には、テレビドラマプロデューサーの菅康弘NHK理事に面会し、15万件を超えた署名及び要望書を手渡した。
- 要望活動の甲斐あって、2019年(平成31年)2月28日、NHKは古関裕而夫妻の半生を描いたドラマ『エール』の製作発表を行った。2020年(令和2年)春に放送開始予定。
- 新型コロナウイルス感染症対策
- 2020年(令和2年)4月22日、新型コロナウイルス感染症対策で休業や営業時間短縮の要請に取り組んだ市内の中小事業者や個人事業主に、25万円を支給する独自の協力金制度を設けると発表した。午前5時から午後8時の間に営業する事業者が1時間以上時短した場合に支給する。県から協力金がもらえない事業者の支援を目的とする。
- 同年4月27日、佐原、有野充朗と金田英樹の両副市長、山西正泰教育長の4人の5月から2021年3月までの11か月分の給与を、月額10%削減すると発表した。削減額は合計約400万円。条例改正案は4月30日の市議会臨時会に提出され、可決された。
- その他
- 2019年4月21日執行の豊橋市議会議員選挙に際して、長坂尚登市議が、豊橋市役所に投票を依頼する内容の電子メールを送信。長坂は法(公職選挙法第142条の4第2項)で定めるところの「送信の求め・同意の通知」を相手先から受け取っておらず、公選法違反の疑いがもたれた。さらに市職員がこの電子メールを庁内で転送したことから、2019年12月11日、佐原は自身の2020年1月分の給料を10%減額すると発表した。
- 豊橋市駅前大通の再開発事業を巡る土地の等価交換で市民に損害を与えたとして、寺本泰之市議は2019年9月18日付で佐原を相手取り、約3億5000万円を再開発組合に請求するよう求める訴えを名古屋地裁に起こした。
- 2019年11月、佐原が社長を務める第三セクター「東三河食肉流通センター」は、同センター役員の親族の通夜・告別式の際、豊橋市長の名で供花と香典を送った。公職選挙法は、政治家が役員を務める関係会社は、選挙区内の人に対し、どんな名義かを問わず政治家名を表示して香典や供花などを送る寄付行為を禁じているため問題となった。
- 2008年の市長選挙に際して「市長任期の3期12年を条例化(多選禁止条例の策定)」を選挙公約に掲げていたが、豊橋市では現在も制定されていない。
脚注